つまらぬこと
お昼過ぎ,金消立会のために金融機関へ。
金消(住宅ローンなどの借入に際し,借入申込者や担保提供者が,金融機関や保険会社から様々な書類の説明を受けて署名捺印したり,印鑑証明書や住民票を提出したり,登記手続の必要書類を預かったりして,融資実行前に行う事務手続の俗称。)は時間を要するため,建設会社担当者と金融機関担当者には,時間を遅らせて伺う旨を伝えておいた。
40分程遅れて到着。
今回の住宅ローンに関する渉外担当行員と名刺交換し,エレベーターで応接スペースのある階へ。
複数ある応接室のうちの一つは,ドアが開けられたままで,建築主(=住宅ローン借入申込者),建設会社担当者,金融機関の金消事務手続担当者(実際には金融機関の代理業者という関連別会社の社員)が,多くの書類を前に雑談していた。
渉外担当行員が『司法書士の方が来られたので。』と告げると,金融機関の代理業者という関連別会社の金消事務手続担当の社員(…長いので,以下単に「キンタン」と略す。)が,
『まだ奥様が来てませんし,印紙もないんですよね~。待っててもらえますぅ~。』と,のたまう。
奥様が遅れていること,印紙を忘れたことを責められている気分になったのか,建築主=住宅ローン借入申込者,すなわち金融機関のお客様が『すみません。』と一言。
こちらは待つことには慣れているので,『では,お待ちしています。』と,応接室外の通路にあるソファーに腰掛けた。
ここは応接スペースだけがある階のようで,この時間,ほかの応接室は使用されておらず静かだった。
待ち時間に,署名捺印してもらう所有権保存登記用の委任状を再度確認(事務所でも確認したけど),土地権利証の預り証を準備,専住用にコピーをしておいた建築確認ファイルを返却するので受領証を準備,ついでに,この件が終わった後に別件で届ける書類も確認した。
それでも時間が余ったので,手帳を何となく見ながら予定を確認して時間をつぶした。
その間,ソファーに腰掛けている私の前を,キンタンが2~3度往復した。奥に設置されているコピー機を使っているようだ。
通路でただ一人座っている私の前を,キンタンは2~3度往復しているわけだが,最初から何も言わず,目も合わせない。
よほど忙しいのだろう。まあキンタンの事務処理が早く終われば,私にも声がかかるだろうから,テキパキと処理していただけるのであれば何も文句はない。もうちょい待つか。
しばらくすると,ドアが開いたままの応接室から雑談が聞こえてきた。
建築主が到着した時間からは,もう1時間以上経っただろう。あれもこれも書類の説明を聞いて署名しているのだから,いい加減疲れてくるし,雑談して息抜きもしたくなるだろう。
そんな雑談の合間でも,権利証を預かったり,今度の建物では権利証じゃなくて,こんなシールが貼られたヘンテコリンなものが出てきますが受け取りますか,どうしますか?なんて説明ができたりするのだが…。
まあ慌てずに待とう。
それから10分程して,キンタンが出てきた気配がした。
またコピーだろうかと思い,手帳に目を落としていると,私の前で立ち止まる。
名刺入れを持っているようなので,(あ,名刺交換か。ようやくお声がかかったかな。)と思い,『お世話になります。』といいながら立ち上がろうとすると,
『名刺と会員証,見せてください。』
は?は?は?!!(゚ロ゚屮)屮
アナタハ名刺交換ニキタノデスヨネ?
名刺交換ニキテ,メイシヲ見セル,トイウカ,交換スルノハ当タリ前デショ?
と突っ込むことはせず,『矢島です。宜しくお願いします。』と挨拶。
キンタン,無言で名刺を受け取る。
キンタン,アナタハ名乗ラナイノ?
『で,会員証ですか?』と聞きなおす。
すぐに出せるのだが,ゆっくりと会員証を取り出して,渡す。
キンタンは会員証を受け取ると,無言でコピー機へ向かう。
は?は?は?!!(゚ロ゚屮)屮
『コピーしてもよろしいでしょうか。』と言わなくてもいいが,『コピーするぞ,ゴルァ!』とか『コピーするけどいいか,司法書士!』とか『司法書士は本人確認させろってしつこいから,チミも確認するぞ。コピーは当然だ。』とか,何か言ってもいいんじゃないの?
静かな応接スペースの通路から,でかい声で『コピー取るんですかぁー?』と聞くと,キンタンの『ハイ』という返事と,コピー機が作動している音が帰ってきた。
このとき,自分の鼻の穴は,2倍くらいの大きさに広がって,フルマラソン走っているみたいに鼻息荒かったと思うよ,多分。
つまらないことだけど,名刺交換するときぐらい挨拶するだろ,名乗るだろ。
会員証を確認することには応じるけど,コピーを取ります,ぐらい断るだろ。
受け取って無言でコピー機に向かうか。
ほどなくして建築主の奥様が到着。一度,建築現場でお会いしている。
忘れていた印紙も購入してきたようだし,奥様もいくつかの書類に署名し,これでキンタンの仕事は終了。ようやく,キンタンから,応接室に入る許可が出た。
建築主に挨拶をして,委任状に署名捺印してもらい,所有権保存登記後のシールが貼られたヘンテコリンな書類の説明をして受領可否を確認し,土地権利証を受領して預り証を発行,建築確認ファイルを返却して受領証に署名捺印してもらい,引越日程を確認して登記完了後の関係書類の受け渡し予定を詰め,念のため運転免許証で本人確認をした。
キンタンからは抵当権設定書類を預かり,実行日の確認。キンタン,顔を向けずに『○○日です。』
『朝一実行ですか?それとも受領証実行ですか?受領証はオンラインの受付画面(の印刷したもの)でもいいですか?』と確認すると,キンタンちょっとうろたえる。
どこかに電話して確認したようで,『受領証実行です。』と顔を向けずに答える。
『受領証の代わりに,オンラインの受付画面と申請書を印刷したものでいいですか?ようは,オンライン(特例方式)で出していいですか?』と再度確認すると,反応なし。
書面申請での受領証と,オンライン(特例方式)申請の場合の受付画面のことを,分かりやすく噛み砕いて説明したが,分かったような分からないような顔で『紙で出してください。』とキッパリ。
(ホントかよ~,さっきの電話の人に確認しなくていいのかよ~。)と思いつつ,再々確認はやめた。この間,10分ちょっとだ。
待つことは何ともない。待つことを想定して次の予定を組んでいるし,次の予定に遅れるようであれば,事情を説明して先に手続をさせてもらう。
温厚で知られる私だが(ウソ),ただキンタンの態度に腹が立った。そして,そんなつまらぬことに腹を立てたことが,バカバカしくて,笑えた。
応接室を出るときは,満面の笑みで『では,失礼いたします!(≧∇≦)』と挨拶してきた。
メガバンクだか,ブタバンクだか,トドバンクだか,ドテカボチャバンク(の関連別会社)だか何だか知らないが,これからも,無言で名刺交換して,無言でコピー取りに言ってくださいね,キンタン。
遅いお昼を「青葉」で食べて,機嫌もなおった。
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