« 秋田へ 矢島へ | トップページ | 第21回2008上尾シティマラソン »

わたしたちは一人ではない

秋田県民会館大ホールは,ごった返していた。
参加登録者数は1,000名を超えたというから驚きである。これだけ多くの方々が,多重債務問題,貧困問題,格差問題を解決しようという意識を持って活動されているわけである。
2008クレサラ白書にある虻川現地実行委員会委員長の挨拶文によれば,秋田県は全国一高齢化が進み,自殺率は10年以上全国1位という。
その秋田で何ができるのか。討論の末,実行委員会が決めたテーマは,「わたしたちは一人ではない〜多重債務と貧困・ヤミ金そして自殺をなくそう〜」であった。

お二人の被害者の方からの体験報告,滝井元最高裁判事の特別報告の後,各分科会へ移動した。
私は,第4分科会「生活と命のための過払金返還・裁判実務」に参加。弁護士や司法書士だけでなく,被害者の会の相談員の方々も多く参加されていたようで,会場を変えての開催であった。また内容も参加者に合わせ,前半は基礎講座,後半は発展講座として設定されていた。
平成19年2月13日以降の「最高裁判決のゆらぎ」に触れ,利息制限法の潜脱主張(遅延損害金主張,期限の利益喪失特約の修正による43条主張,充当の否定,悪意の受益者否定など)への対策を盛り込んだ内容であった。
過払いバブルと揶揄される現状において,私自身,過払金返還とは被害者にとって「生活と命のため」であるということを,認識させられた。

さて,私は微力ながら,地元の被害者の会で相談担当などお手伝いをしている。
被害者の会を初めて訪れた相談者の多くは,意気消沈した様子で,相談員の励ましにも司法書士の問いかけにも,わずかな言葉しか発しない。そうしている間にも,ヤミ金からの督促で携帯電話は鳴りっぱなしである。そういう光景を何度となく見てきた。
そうなるまでには,失業や家庭崩壊の危機,自殺未遂もあったかもしれない。そして,被害者の会にたどり着くまでに,相当の時間と覚悟を要し,どれだけの勇気を振り絞って来たことだろう。被害者の不安感,恐怖感,孤独感,絶望感は,計り知れない。
しかしそれでも,少しずつ被害者の会に通い,相談員と二人三脚で,問題を一つずつ解決していくことで,数ヵ月後には,晴れやかで元気な表情を取り戻している。
その後は自分自身が,新たな被害者の相談にのり,被害届や調査票の記載方法を教え,ときには叱り,ときには励まし,恫喝する犯罪者に毅然と立ち向かおうとしている。
私も,一人でヤミ金を相手にするのはしんどい。ヤミ金の対応に手慣れた相談員のみなさんの話を聞き,その傾向と対策を学ぶことで,何度と無く助けていただいている。

「わたしたちは一人ではない」

被害者の会は,試行錯誤を繰り返しながら,多くの被害者に「わたしたちは一人ではない」という安心感を与えてきた。

1,000名の参加登録者の中には,被害者の方も多くいらしたことだろう。この交流集会に参加できたということは,被害者の会を通じた交流の中で,「自分は一人ではない。」ということを実感できた証でないだろうか。

司法書士である私も,その手助けを少しでもできるように,今後も努めていきたい。


|

« 秋田へ 矢島へ | トップページ | 第21回2008上尾シティマラソン »

債務整理」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。